ぺピン
その後はどうやって家に帰ったのか、自分でもよくわからない。

頭の先からつま先まで濡れているところを見ると、この雨風の中を歩いて帰ったようだった。

「スーツ、クリーニングに出さないとな…」

恭汰は呟いた後、ドアを開けて家の中に入った。

びしょ濡れになったスーツを洗濯かごの中に入れた後、シャツと靴下を洗濯機の中に放り込んだ。

バスルームへ行ってバスタブにお湯をためている間、恭汰はリビングに向かった。

引き出しからバスタオルを取り出すと、濡れた髪と躰をふいた。

濡れてしまったカバンをふくと、中身の確認をするためにふたを開けた。

「よかった、無事だった」

呟いて息を吐いた後、白い封筒を取り出した。

中には京香に返そうと思っている1万円札が入っている。
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