ぺピン
「いつになったら返せるんだろう…?」

呟いた声は、誰もいない部屋に大きく聞こえた。

つきまといだストーカーだ、挙げ句の果てには考えがあると言われてしまった以上、京香に近づくことができない。

「こんな大金持っていても、仕方がないだけなのにな…」

封筒をカバンの中に戻した後、恭汰はバスルームへ足を向かわせた。


窓の外は強い雨風で荒れていた。

「ママ、怖いよ」

ガタガタと窓を揺らす強い風に、都が怯えている。

「大丈夫よ」

京香は都にささやくと、都の肩を抱き寄せた。

「この様子だと、もしかしたら明日は休みになるかもな」

テレビの天気予報を見ていた春馬が京香と都に言った。
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