ぺピン
「そうだったかな?」

恭汰はとぼけるようやく言った後、笑った。

「1回だけだと、先輩はそう言いました」

そう言い返した京香に、
「へえ」

恭汰は返事をした後、スーツの胸ポケットからスマートフォンを取り出した。

京香の目の前にスマートフォンを見せた。

「…どう言うことなんですか?」

スマートフォンの画面いっぱいに広がった画像に、京香は驚いたと言うように聞いてきた。

そこに映っていたのは、裸のままベッドのうえで眠っている自分の姿だった。

これは間違いなく、数日前の自分だ。

「確か、ここでは君のことは何にも知らないことになっているよね?

結婚していたことも、子供がいることも、彼らは何にも知らないよね?」

恭汰はそう言った後、スマートフォンを胸ポケットにしました。
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