ぺピン

「あれ？」

カバンの中身を全部出した後、それを逆さにして上下に振った。

そこからスマートフォンが出てくる気配はなかった。

クリアファイルの中に紛れ込んでいるのだろうかと思って探して見るも、出てこなかった。

「おかしいな…」

ほとんどの人間ならスマートフォンは肌身離さず、常に持ち歩いているはずだ。

なのに服やカバンを探っても出てこないとはどう言うことなのだろう？

「まさか服の中に隠し持ってるって訳ないよね？」

そう思いながら恭汰の服に手をかけようとした時、
「――んー…」

うめくような声が聞こえたので、京香はベッドから離れた。