ぺピン
「――ッ…」

目を開けると、京香はそこにいなかった。

同時に、自分が何も身につけていないことに気づいた。

服はどこだろうと思って部屋を見回すと、ソファーのうえに放り投げられていた。

「――何でだ…?」

そう呟いた声はひどくしゃがれていた。

躰を起こしたとたん、頭痛が襲った。

「――イテテ…」

指でこめかみを押さえると、恭汰は息を吐いた。

目を閉じて、何が起こったのかと考えながら記憶をたどった。

京香が作ってくれたウイスキーの水割りを飲んだ…と言うところまでは覚えている。

その後がどうにも思い出すことができなくて、恭汰はまた息を吐いた。
< 152 / 180 >

この作品をシェア

pagetop