ぺピン
京香は訳がわからないと言うように首を傾げた。

「父親が誰なのか、わかっているのか?」

そう言った春馬に、
「さあね、でも私は堕ろすつもりなんてないわ。

春馬が反対しようが何をしようが、私はそうするつもりよ」

京香は答えた後、トイレから出て行った。

「おい…」

呼び止めようとした春馬だったが、京香は無視をした。

「産んで育てるって、父親が誰なのかもわからないのにどうするって言うんだよ…」

今の今まで、京香は一馬の身代わりとしていろいろな男と躰を重ねてきた。

そもそも、それを教えたのは自分だ。

自分が兄の代わりとして京香と躰を重ねたことがきっかけで、彼女はいろいろな男と関係を持った。
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