ぺピン
「体調が悪いんだったら、無理しない方がいいよ?

明日も仕事があるんだから、ほどほどにね」

課長は恭汰に言った後、離れた。

彼の後ろ姿を見送った後、恭汰は京香の方に視線を向けた。

楽しそうに談笑をしている京香の周りに女がいるのはもちろんのことだが、男もいた。

(ずいぶんと変わったな…)

心の中で呟いた後、ビールをグラスに注いだ。

高校時代の京香とは考えられないくらい、彼女の周りにはたくさんの人がいる。

(あの頃の上杉さんは、高嶺の花のような存在だったのに…)

注いだビールに口をつける気は起きなかった。

高校時代から何にも変わっていない自分に、恭汰は周りに気づかれないように息を吐いた。
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