ぺピン
生ぬるく湿った夜の風が自分たちの間を通り過ぎた。

「上杉さん、大丈夫?」

京香と一緒に駅へ向かいながら、恭汰は聞いた。

「大丈夫ですよ。

私、お酒に強いので」

ちゃんと歩いているところを見ると、確かに大丈夫そうだった。

恭汰がホッと息を吐いたら、
「――うっ…」

京香が手で隠すように口をおおった。

「どうかした?」

そう聞いた恭汰に、
「――何か…すごく気持ち悪い…」

京香はその場にしゃがみこんだ。

「えっ…気持ち悪いって、吐きそう?」

慌てて聞いた恭汰だったが、京香はしゃがみこんでいるだけで何も答えない。
< 37 / 180 >

この作品をシェア

pagetop