ぺピン
「へえ、相当なまでにヘタクソだったんだ」

そう言った男に、
「それももちろんあるけどね、なんて言うか…私のことを処女か聖女みたいに思ってるって感じ。

抱き方もまじめ過ぎて、全然楽しめなかったわ。

終わるまでずっとイライラしてた」

京香は息を吐いた。

「だからあいつが寝ている間に逃げて、手切れ金を置いたわ。

なのに、その手切れ金を返されそうになっちゃって」

「もちろん、逃げたんだろ?」

「当たり前でしょう、手切れ金なんだから。

でもしばらくは逃げなきゃいけないかなあ。

ヘタしたら、家にまで押しかけてきそう」
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