ぺピン
だけど、いつまでも京香が置いた1万円札を持ち歩いている訳にはいかない。

恭汰は駅に下りると、彼女の自宅へと足を向かわせた。

マンションの中に足を踏み入れると、京香の部屋のドアの前に立った。

チャイムを鳴らすと、
「はい」

ガチャッと音がしたのと同時に、ドアが開いた。

「えっ…?」

出てきたその人物に、恭汰は目を疑った。

京香が出てくると予想していたが、出てきたのは男だった。

「えっと…上杉さんのご自宅はここであっていますよね?」

そう聞いた恭汰に、
「そうだけど、あんた誰?」

男は不機嫌そうに聞き返してきた。
< 56 / 180 >

この作品をシェア

pagetop