東京片恋専科。
「着いたよ」

そう言われ顔を上げるとそこにはこじんまりとしてきれいなアパート。ほんとにすぐ近くだった。

「どうぞ」

広瀬くんが扉を開けてくれた。

「…お、おじゃまします」

部屋は凛とした広瀬くんのイメージどおり、シンプルで、すっきり片付いていた。

私はどうしていいかわからず、荷物を膝に乗せ、テーブルの脇に正座する。

「楽にしなよ!!」

「…はい」

「なんで敬語なの」

ふ、と小さく笑いながら広瀬くんが言う。

《好きな人の部屋だからだよーーーッ!》

心の中で叫ぶがもちろん口には出さない。
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