小宮の隣・俺のモラル
決意
朝目覚めると、昨日一夜を過ごした奴がいる。
小宮悠。
本当に女顔負けな綺麗な顔。
あどけない表情で眠っている。
こんなに、安心しきった顔して…。
もっと、悠を知りたい。俺は、何も悠を知らないんだ。
昨日そう思った。
好きだと言われたってことは…俺自身の応えも出さなければならないってことだよな?
悠は、俺とどうなりたいんだ…。
そう思うと心が締め付けられた気がした。
小宮にもっと触れたい。
そっと、髪を触る。
柔らかい髪質なんだな。
「悠……。」
小さいことからでいい。もっと教えてくれ。
「俺は……どうしたらいい?」
寝ている悠に話し掛けても答えは返ってこない。
「……好きって言ってくれて…嬉しかった。」
けれど…俺は付き合ってる彼女がいる。
こんな、隙だらけの悠を見てられない。
起こさないように、ゆっくりベッドから起き上がった、その時。
「…行くなよ。まだ、寝てていいだろ…。」
「ひ、悠っ!」
俺の腕を掴み、ベッドへ戻す。そして優しく俺を抱きしめた。
「俺は、由希と居れるなら気持ちまで欲しいなんて思わなかった。……けど、今は由希の全部欲しい。気持ちも身体も全部だよ。」
抱きしめ返す腕に力がこもる。
「……少し待てるか…?まだ、彼女が…。」
「でもな…由希の幸せを考えたら、隣にいるのは俺じゃいけないんだよ…。」
悠の声が、わずかだが震えているように聞こえた。
「悠…。俺は、男同士なんて考えはなかった。けど…相手が悠だから、こんなに気持ちが揺れてるんだと思う。」
「…その言葉信じたい…。」
もう一度髪を触る。
「信じて。悠の隣は俺がいるから。」
悠は小さく頷いた。