楓の樹の下で
第五章 “再会”
大きい玄関ではなく、小さい扉から外に出た。
太陽が眩しくて目を細める。一月の終わりなのにポカポカして暖かい。
カーテンで閉められた少し大きくて、横に〜〜クリーニングと書かれている車に乗せられた。
マスコミってやつがいっぱいと言っていたけれど、誰もいなかった。
数人いた大人たちはいなくなり、隣には握手の男が座る。
「日向くん、ここから20分ぐらいの場所にこれから生活するとこに着くからね。」
うん。と、うなづく。
車が動き出す。カーテンの隙間から外を覗いた。
いっぱいの人たちが何やら大きい器械思って皆玄関の方の見ている。
あれがマスコミか、とわかる。
握手の男が話を続けた。
「そういえば、おじさんの素朴な疑問なんだけど、聞いていい?」
「うん、いいよ。」
「おじさんの名前覚えてる?」
どうしてそんな事きくのだろうと、思った。
握手の男は、そんなオレの顔を見て、また話出した。
「いやぁ勘みたいなもんで、日向くんあの日いっぱいの大人に会っただろ。その中の一人のおじさんの名前なんて覚えてるわけがないかなって思ったんだ。」
そっか。そんな事考えてくれる人なんだと思う。
「握手のおじさん…」
「おぉそっかそっか、握手した事覚えてくれてたんだな。それは嬉しいな。ありがとうな。」
刑事のおっさんみたいに頭を撫でてくる。
この、おじさんはあの おっさんに少し似てるなと感じた。
「おじさんの名前は佐々木っていうんだ。佐々木権蔵っていうんだ。佐々木さんでもゴンちゃんでも好きなように呼んでいいから。」
「ゴンちゃん?」
自分で言ったくせに、オレが聞き返すと、吹き出して笑う。
「そう、こんなおじさんがゴンちゃんって笑えるだろ?家の子供たちが、ごんぞうっていうからゴンちゃんだぁって。それからゴンちゃんって呼ばれてます。」
楽しい人だと思った。
「じゃボクもゴンちゃんって呼んでいい?」
「あぁいいぞ!またゴンちゃん信者が増えた増えた!」
笑いながらそう言うこの人のそばは心地よく今から行く家への不安が少し少なくなった。
ゴンちゃんが言うとおり20分ぐらいで、児童養護施設に着いた。
車を降りると黄色い大きな花が描かれていて、その真ん中に〔向日葵〕と書かれている看板を見た。
「これなんて読むの?」
気になったので、ゴンちゃんに指をさして聞いてみる。
「あぁこれは〔ひまわり〕って読むんだ。向日葵知ってるかい?」
あの書かれているのがひまわりっていうのなら知ってるような気がする。
でも不安になり、知らないと答えた。
「そっか知らないか。じゃ夏が楽しみだな。ここでは、毎年、ほらあそこ、玄関の両隣に小さな花壇あるだろ?あそこに向日葵が咲くんだ。太陽の光をいっぱい浴びたくて太陽に向かって咲く花なんだよ。」
「見れるの?」
「うん、見れるさ。今年は日向くんに向かって咲くかもしれないな。」
そう言うとニカっと笑う。
「なんでボクに咲くの?」
「だって太陽の光のことを、日向っていうんだよ。だから、今年は日向くんに咲いて見せてくれるかもな。」
《太陽の光を日向っていうのよ。》
またあの時の女の声がする。
でも今は聞かないふりができるようになっていた。
そっか、夏に咲くんだともう一度花壇を見た。
その真ん中にある扉が開く。
知ってる顔が二つ出てきて、オレを見た。
「あっ」
思わず声が出た。
隣のゴンちゃんを見る。
「いいよ、行っておいで。今日からここが日向くんのお家だから。」
そう言って大きな手が優しくオレの体を前へと押し出す。
勢いがついたオレの体は笑顔で待つ二人の所へと、走り出す。
玄関で両手を広げしゃがみこみ待つ、お姉ちゃんへと駆け寄り寸前で足を止める。
どうすることが正解なのかわからない。
すぐさま、抱きしめられる。
耳元で声がする。
「おかえり。」
「よく来たな。今日から家族だからな。」
と、頭の撫でられる。
体を離しお姉ちゃんがオレを見る。少し顔を上げると、お兄ちゃんもいた。
「なんでいるの?ボクに会いに来てくれたの?」
どうしてか、この二人には素直に子供になれた。
二人に会えた事が嬉しくてたまらない。
またオレは泣いている。そうか、これがあの時お兄ちゃんが言っていた嬉しい時に泣くことなんだと知った。
「違うよ。今日から一緒にここで生活するの!家族になるの!」
お姉ちゃんがニコニコしながら、話す。
「お姉ちゃんたちもここに住んでるの?」
「いや、住んではいない。けど、日向が起きたらいるし、学校から帰ってきて寝るまでいてる。ここでの生活の間一緒にいるよ。」
今度はお兄ちゃんが話した。
「学校?」
オレの意識は次の疑問に進んだ。
二人は顔を見合わせた。
「よし、とりあえず家に入ろう。ここでの生活の説明佐々木さんと一緒にするから。」
そう言い玄関に向かう。
太陽が眩しくて目を細める。一月の終わりなのにポカポカして暖かい。
カーテンで閉められた少し大きくて、横に〜〜クリーニングと書かれている車に乗せられた。
マスコミってやつがいっぱいと言っていたけれど、誰もいなかった。
数人いた大人たちはいなくなり、隣には握手の男が座る。
「日向くん、ここから20分ぐらいの場所にこれから生活するとこに着くからね。」
うん。と、うなづく。
車が動き出す。カーテンの隙間から外を覗いた。
いっぱいの人たちが何やら大きい器械思って皆玄関の方の見ている。
あれがマスコミか、とわかる。
握手の男が話を続けた。
「そういえば、おじさんの素朴な疑問なんだけど、聞いていい?」
「うん、いいよ。」
「おじさんの名前覚えてる?」
どうしてそんな事きくのだろうと、思った。
握手の男は、そんなオレの顔を見て、また話出した。
「いやぁ勘みたいなもんで、日向くんあの日いっぱいの大人に会っただろ。その中の一人のおじさんの名前なんて覚えてるわけがないかなって思ったんだ。」
そっか。そんな事考えてくれる人なんだと思う。
「握手のおじさん…」
「おぉそっかそっか、握手した事覚えてくれてたんだな。それは嬉しいな。ありがとうな。」
刑事のおっさんみたいに頭を撫でてくる。
この、おじさんはあの おっさんに少し似てるなと感じた。
「おじさんの名前は佐々木っていうんだ。佐々木権蔵っていうんだ。佐々木さんでもゴンちゃんでも好きなように呼んでいいから。」
「ゴンちゃん?」
自分で言ったくせに、オレが聞き返すと、吹き出して笑う。
「そう、こんなおじさんがゴンちゃんって笑えるだろ?家の子供たちが、ごんぞうっていうからゴンちゃんだぁって。それからゴンちゃんって呼ばれてます。」
楽しい人だと思った。
「じゃボクもゴンちゃんって呼んでいい?」
「あぁいいぞ!またゴンちゃん信者が増えた増えた!」
笑いながらそう言うこの人のそばは心地よく今から行く家への不安が少し少なくなった。
ゴンちゃんが言うとおり20分ぐらいで、児童養護施設に着いた。
車を降りると黄色い大きな花が描かれていて、その真ん中に〔向日葵〕と書かれている看板を見た。
「これなんて読むの?」
気になったので、ゴンちゃんに指をさして聞いてみる。
「あぁこれは〔ひまわり〕って読むんだ。向日葵知ってるかい?」
あの書かれているのがひまわりっていうのなら知ってるような気がする。
でも不安になり、知らないと答えた。
「そっか知らないか。じゃ夏が楽しみだな。ここでは、毎年、ほらあそこ、玄関の両隣に小さな花壇あるだろ?あそこに向日葵が咲くんだ。太陽の光をいっぱい浴びたくて太陽に向かって咲く花なんだよ。」
「見れるの?」
「うん、見れるさ。今年は日向くんに向かって咲くかもしれないな。」
そう言うとニカっと笑う。
「なんでボクに咲くの?」
「だって太陽の光のことを、日向っていうんだよ。だから、今年は日向くんに咲いて見せてくれるかもな。」
《太陽の光を日向っていうのよ。》
またあの時の女の声がする。
でも今は聞かないふりができるようになっていた。
そっか、夏に咲くんだともう一度花壇を見た。
その真ん中にある扉が開く。
知ってる顔が二つ出てきて、オレを見た。
「あっ」
思わず声が出た。
隣のゴンちゃんを見る。
「いいよ、行っておいで。今日からここが日向くんのお家だから。」
そう言って大きな手が優しくオレの体を前へと押し出す。
勢いがついたオレの体は笑顔で待つ二人の所へと、走り出す。
玄関で両手を広げしゃがみこみ待つ、お姉ちゃんへと駆け寄り寸前で足を止める。
どうすることが正解なのかわからない。
すぐさま、抱きしめられる。
耳元で声がする。
「おかえり。」
「よく来たな。今日から家族だからな。」
と、頭の撫でられる。
体を離しお姉ちゃんがオレを見る。少し顔を上げると、お兄ちゃんもいた。
「なんでいるの?ボクに会いに来てくれたの?」
どうしてか、この二人には素直に子供になれた。
二人に会えた事が嬉しくてたまらない。
またオレは泣いている。そうか、これがあの時お兄ちゃんが言っていた嬉しい時に泣くことなんだと知った。
「違うよ。今日から一緒にここで生活するの!家族になるの!」
お姉ちゃんがニコニコしながら、話す。
「お姉ちゃんたちもここに住んでるの?」
「いや、住んではいない。けど、日向が起きたらいるし、学校から帰ってきて寝るまでいてる。ここでの生活の間一緒にいるよ。」
今度はお兄ちゃんが話した。
「学校?」
オレの意識は次の疑問に進んだ。
二人は顔を見合わせた。
「よし、とりあえず家に入ろう。ここでの生活の説明佐々木さんと一緒にするから。」
そう言い玄関に向かう。