チョコレート王子と甘い恋。

「花梨、どうしたの?」

「え!あ、ううん!なんでもな~い」


花梨はすぐに笑ってごまかしたけど
あたしは見逃さなかった。


ふいにニヤッと口元が上がるなんとも怪しいその笑顔を。



そしてあたしは気付いた。

目の前の教室を女の子達が取り囲んでキャーキャー騒いでいる。



「あの教室にいるよ、王子様」


なんかアイドルでもいる勢いだよこれ。
でもアイドルじゃないなら、相当な人気者だね。



「あたしはあの中入ってけないし、
緩菜だけで行ってきなよ」

「えぇ!?やだやだ!絶対やだ!」

「大丈夫。緩菜は今日転校してきたばっかだから絶対道開けてくれるよ」


それなら花梨も一緒にいけばいいじゃん。



なんて思いながら
意を決してそこへ入っていった。


覚悟したわりには緩菜の言うように
どんどん道を開けてくれて意外とすんなり教室の中へ入る事が出来た。
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