チョコレート王子と甘い恋。
「……れん、と……く
「廉斗」
「廉斗くんじゃなくて、廉斗」
知らない。
こんな廉斗くん、知らない。
いつも笑顔で緩菜ちゃんって呼んでくれて
いつも甘くて……。
「廉斗……く
「廉斗」
「どうしたの?なんか、変だよ?」
だけど、こんな廉斗くんも好きで
あたしの心臓壊れちゃうくらいドキドキしてるの。
「あいつの事名前で呼ぶから」
あいつって……雅くんの事?
「緩菜だけは俺の特別だから、
他の男と同じ呼び方なんて無理。
だけど奏汰は俺の親友だから奏汰だけは名前で呼んでいいけど」
ねぇ、そんなこと言われたら、
わかってても期待しちゃうんだよ?
「廉斗くんは、廉斗くんだよ。
でも、廉斗くんが嫌なら……他の男の子の事名前でよばないよ」
たとえ廉斗くんがあたしを妹として特別視してたとしても、
たとえ廉斗くんに好きな人がいたとしても、
あたしは廉斗くんの望むことをしたいから。
「てかさ、ハグしていい?」
「へ?ハグ?」
「うん。俺、緩菜ちゃん不足」
廉斗くんはあたしの体を引き寄せて優しく抱き締めた。
「ねぇ緩菜ちゃん」
「な、なに?」
「…好きな人ってだれ?」
「すすすす、好きな人!?」