嘘でも良い
第6章
確信 彷徨side
次の日、いつもより早くメールが来た。
<写真、ありがとうございます!
本当に綺麗で、驚きました。
今までも素敵だったのですが、
今日は本当に感動しました。
本当に、
ありがとうございます!>
お礼ばかりの、本当に嬉しそうな文章。
喜んでくれて、良かった。
珍しく長文で、ビックリマークのついたメール。
直接言われたら、何度もお辞儀されそうだな。
<喜んでもらえて良かったです。
以前その写真を撮った甲斐がありました>
父さんが自殺して、声が出なくなって。
僕は家に引きこもりがちになった。
そんな時出掛けたチューリップ畑で撮った写真。
チューリップの話をしている時だけ。
父さんも母さんも、僕を見てくれた。
チューリップは僕にとって、家族と繋がれる唯一の機会だったんだ。
だから僕はその時、撮りに行ったんだ。
丁度その日は満月だったから。
夜まで待って、気に入る写真を撮った。
その時は自己満足で終わったけど。
こうして喜んでもらえると、僕も嬉しいや。
撮りに行った甲斐が、本当にある。