嘘でも良い
僕はケイタイを拾い、うち始める。
<よくオッケーしてくれたね>
「俺もオッケーしてくれるとは思わなかったぜ。
だけど、粘り強さに負けたって言われたんだ」
粘り強い男が好きだってわけか、越田夏美は。
「写真見るか?」
<あるの?>
「ああ。
夏美は俺の女だって証にな」
スマホをいじった兄貴が、写真を見せてくれる。
越田夏美も兄貴も写真慣れしているみたいで、完璧な笑顔だった。
「明日デートにでも誘ってみるかなー」
<気が早くない?>
「あ?普通だと思うぞ」
普通、なのか?
僕は首を傾げた。
それから延々と、僕は兄貴から越田夏美への惚気話を聞かされた。
愚痴よりは幾分マシかと思い聞き始めたけど。
長さは変わらない。
僕はテキトーに相槌をうった。
手紙、書かなくて良いんだ。
何で嬉しいと思わないんだろう?
越田夏月のこと僕、気になっているのだろうか?
よく、
わからないや……。