嘘でも良い
<でも今回は、楽しかった。
続いてほしいと、知らないうちに思ってた>
本当、不思議なものだよ。
嫌いだって思っていた手紙のやり取りが、大事なやり取りになっていたんだから。
「何だよお前、夏美が好きになったのか?」
<違う。
僕は越田夏美になんて興味ない>
「は?
じゃあ何でそんなに落ち込んでんだよ」
<メールしていたのが、越田夏美じゃないから>
これが本当に越田夏美なら。
僕はここまで、ぼんやりしない。
「は?
夏美とお前、手紙のやり取りしていねーのかよ。
誰とお前はやり取りして、誰に写真を送ったんだよ」
<越田夏美の妹・越田夏月としていたんだ>
「は!?
何で妹とやり取りしていたんだよ」
僕はこの間越田夏月から送られた、長文メールを兄貴へ見せた。
兄貴は読み終えて、絶叫した。
「嘘だろ!?
夏美の代わりに、妹が?
俺らと一緒じゃねーかよ…」
兄貴は僕を見て、その肩を思い切り叩いた。
僕は痛みに顔を歪め、叩かれた肩を押さえた。
…何するんだよ、馬鹿力。