嘘でも良い
まぁそういうことは置いておいて。
よくわからないから、僕はまた首を傾げた。
「彷徨は越田夏月とメールしててどう思った?」
<どう思ったって言われても…>
「嬉しかったか?
楽しかったか?」
嬉しかった、楽しかった。
…まぁ、思わなければ嘘になるな。
チューリップの写真を送っただけであんなに喜ばれるなんて。
新鮮だったし、もっと喜ばせたいと思った。
「そういえばお前、何でそんなメアドにしたんだよ」
<え?>
イエローチューリップのこと?
「望みのない恋だろ、花言葉。
何でそんなのメアドにしたんだか」
<兄貴、イエローチューリップの花言葉覚えていたのか?>
「当たり前だろ。
母さんがあれだけ語っていたんだ。
嫌でも覚える」
兄貴は溜息をついた。
「てかお前、越田夏月に悪いことしているじゃねーか」
僕が?