嘘でも良い
エピローグ
☆夏月side☆
あたしと月更くん改め、彷徨くんは付き合うことになった。
まさか嘘で恋が始まるとはね。
嬉しかったけど、恥ずかしさもあった。
あたしは彷徨くんから全て聞いた。
声を失った原因も。
ムーンになった経緯も。
<僕なんかで良いの?>
「彷徨くんじゃないと嫌だ」
<嬉しいこと言ってくれるね>
彷徨くんは優しい。
お兄さん思いだし。
ムーンそのものだった。
後日、あたしたちはお姉ちゃんの彼氏で彷徨くんのお兄さん・皇紀くんに会ったけど。
会話もしたけど、ムーンくんのイメージは全くなかった。
チャラくて、でも裏表のない、お姉ちゃんにピッタリな彼氏だと思った。
「そういえば、もうすぐ?」
<そうだね>
路線図を見た彷徨くんが、電車の中であたしにケイタイを見せてくれる。