嘘でも良い
その日の夜。
「お姉ちゃん、あたし明日も早めに学校行くから」
「またぁ?
今日は代筆の仕事なかったはずよ。
だから届ける必要もないじゃない。
何で早く行くのよ」
代筆の…仕事なんだ、あれって。
「最近早く行くのにハマっているの」
「夏月」
あたしはお姉ちゃんに話しかけていたのに、口を挟んだのはお母さんだ。
「たまには夏美と一緒に行きなさい。
双子なんだから」
「双子だからって一緒には行かないわよ」
「夏美、毎日寂しそうな顔をして行くのよ。
夏美も夏月と一緒に行きたいんでしょ?」
「そうよ」
本当、お姉ちゃんに対して過保護なんだから。
その過保護さに、イラッとした。
「あたし、お姉ちゃんのボディーガードじゃないわ。
そんなに心配なら、ボディーガードでも雇えば良いじゃない」
「まぁ、反抗期かしら?」
「夏月もそういうお年頃なのよ」
大体、あたしがいるからお姉ちゃんが誘拐されないってことはないわ。
その上、お姉ちゃんは色々護身術として学んできたから、いざとなったらそれを使って退治出来るし。
お姉ちゃんあたしより強いの、お母さん忘れているんじゃないの?