嘘でも良い
学校まであたしはお姉ちゃんの荷物持ちだ。
少しだけ重く感じる絵の具セットを持ち、学校へ向かう。
あたしがお姉ちゃんの使用人みたいな扱いになったきっかけは、お母さんだ。
お姉ちゃんは小学生の時、クラスの女子から軽いいじめにあった。
理由は本当に些細なこと。
女子から人気だった男性教師が、あろうことかお姉ちゃんに告白したのだ。
勿論お姉ちゃんは断ったけど、女子はお姉ちゃんが許せなくって。
上履きを隠すだけの些細ないじめを受けた。
その時と丁度重なり、お姉ちゃんは学校の階段から誤って足を滑らせて落ちた。
腕を骨折したお姉ちゃんを見て、お父さんとお母さんは「いじめだ」と騒いで、学校を転校した。
丁度その頃、あたしにはお姉ちゃんを見ない、初めての友達がいたから、転校には反対したけど、お父さんとお母さんには逆らえなくて。
結局まともに別れも言えないまま、あたしは親友と別れた。
新しい小学校に通い始めてすぐ、お母さんはあたしにお姉ちゃんの荷物を持つよう指示した。
当時はお姉ちゃんも腕を骨折していて持てないのはわかっていたから、その時は承知した。
それが治った今でも、お姉ちゃんはあたしに持つよう言って来たのだ。
本当にもう、あたしの周りは全て、お姉ちゃん中心だ。
お姉ちゃんはあたしの中で絶対的権力を持つ女王様。
あたしは女王様に仕える使用人。
決して双子と言う同じ身分の関係ではない。
ラブレターの代筆。
荷物持ち。
メールの相手。
本当にあたしは、お姉ちゃんの道具だ。