嘘でも良い
第2章
嘘だけど彼氏
学校に着くと、待ちわびていた男子が一斉に溢れる。
あたしは男子の波に埋まらないよう、1歩下がった場所からついていく。
本当あたしって、お姉ちゃんの忠実なしもべだよネ。
同じ文句を言う男子に、同じ対応をするお姉ちゃん。
変わらない光景に、あたしは溜息をついた。
お姉ちゃんとはクラスが違うから、下駄箱の場所も違う。
あたしは急いで下駄箱へ行き、開けた。
…入っていた、月の封筒が。
あたしは急いで鞄へ仕舞いこみ、お姉ちゃんの元へ行った。
そして教室へ行き、入り口で絵の具セットを渡す。
「出来た妹ですね!」とお姉ちゃんを褒める。
何でそこでお姉ちゃんを褒めるのよ。
普通そこは、あたしを褒めるんじゃないの?
「お姉さんのために、凄いですね」って。
…別に良いけど、慣れたことだし。
男子だけでなく女子も、あたしじゃなくてお姉ちゃんだし?
あたしは机の上に鞄を置き、中に入っている月の封筒を取り出し、ブレザーに隠すようにして走り出し、いつもの女子トイレの個室へ入り、封を開けた。
<越田夏美様
よろしければ、メアドを
交換しませんか?>
下にメアドが書いてあった。
<Yellow-Tulip××××>
英語が苦手なあたしは、最初のイエローしか読めなかった。
イエロー…黄色?
黄色が好きなのかしら?