嘘でも良い
「あ、そうだお姉ちゃん」
出ようとした時、思いだした。
会ったのだから、今聞けば良い。
あたしはブレザーのポケットに仕舞いこんだ封筒を取り出した。
「へぇ、可愛いじゃない」
「これで3通目なの」
「3通目?
何で今まで言わなかったのよ」
「だって、誰だかわからなかったんだもの」
毎日送られる、たった3行の短い手紙。
あたしは内容を話した。
「なるほど。
それで言えなかったのね」
「うん。
今回3通目で、メアドを聞きたいって来たのよ」
「メアド?
教えるつもりはないわ」
だろうね。
予想していた答えだったよ。
「ただ夏月、気が付いたわ」
「何を」
「最近朝早く出ていたのは、ラブレターの返信を届けるだけじゃなかったのね。
その手紙を早く見たかったからなのね」
「…………」
「黙るってことは、図星と捉えて良いわね」
あたしは小さく頷いた。