嘘でも良い






「ねぇ夏月。
夏美ちゃんのメアド、教えてくれないかな?」

「お姉ちゃんの?」

「うん。
夏美ちゃん美人だから、メイクの方法とか教えてほしいんだ」



お姉ちゃんはメイクなんてしないくせに、メイクについては詳しい。

莉々子に聞かれた時ように、雑誌を読んでいるんだって。

面倒だとか言いながらも読むお姉ちゃんは、凄いと思う。





「待ってて。お姉ちゃんに聞いてみるから」

「お願い!」





メールをすると、数秒後に返信が来た。

返事の内容は予想通り、オッケー。

男子には教えないお姉ちゃんだけど、女子には軽々教えちゃうからね。




「良いって」

「やった!
じゃあ夏月、教えて」




赤外線でお姉ちゃんのメアドを送りながら、ふと考える。

水月のメアド、あたし知らないや。




「水月。
水月のメアド、教えてくれないかな?」




普通に言ったつもりだった。

だから水月が黙り込んだのを見て、あたしは驚いた。






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