嘘でも良い







「水月?」

「…あ、ごめん。
実はわたし、メアド教えられないんだ」

「どういうこと?」

「仲良い人じゃないと教えちゃ駄目だってお母さんに言われているの。
だから…ごめん、教えられないや」





仲良い人、か。

そうだよね。

水月はあたしと違って、沢山友達いるもんね。

あたしとは中学時代に何も言わず転校してから、会っていなかったもんね。

あたしより仲良い人、沢山いるよね。





「そっか、良いよ。
気にしないで!」

「ごめんね、夏月」

「気にしないでってば。
あ、あたしおかわりしてくるね」




あたしは空っぽになったオレンジジュースのはいっていたグラスを持って、ドリンクバーの所へ行った。







「……あれ?」



戻ると、水月はいなかった。

トイレかな?と思ったけど、荷物さえもない。

急用でも、思いだしたのかな?




あたしはテーブルの上に置かれていた伝票を見つける。

水月、お支払いもせずに出て行ったんだ。

あたしは勿体ないので、1人でオレンジジュースを飲みほし、お会計に向かい、水月の分のお金も払って、お店を出た。







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