嘘でも良い







「その上何も言わず転校されて。
さっき私に会えて、夏月からやっと念願だった私のメアドをゲット出来たって。
水月ちゃん、素直で良い子ね」




あたしと話したいって言ったのは、お姉ちゃんのメアドを知りたかったから?

だからあたしのメアドは必要なかったの?





「夏月。
もっと水月ちゃんに私のこと教えても良かったのに。
勿体ないことしたわねぇ」




中学の頃あたしといたのは、お姉ちゃんのことを知るため?

それなのにあたしは全くお姉ちゃんのことを話さなかったから、つまらなかったの?






水月も結局、

あたしよりお姉ちゃんを取るつもりだったの?

あたしの親友じゃなかったの?

そう思っていたのは…あたしだけだったの?






「夏月!?」




あたしは部屋を出て、家を飛び出した。

胸元にケイタイをぎゅっと握りしめて。

あたしはひたすら走った。





裏切り者。

裏切り者。

水月の、裏切り者。




結局、いなかったんだ。

あたしに友達なんて、1人も。








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