嘘でも良い
満月のチューリップ
本当は、信じていなかった。
だってあの人がメールを返してくれるのは、朝だけだから。
まぁ、こんな時間に送ることなんてなかったんだけど。
だから、
返信が来て驚いた。
<笑顔になれば、
止まると思うよ>
絵文字のない、シンプルなメール。
<じゃあ、
どうやったら笑える?>
<楽しいこと、
嬉しいこと思い浮かべて>
楽しいこと、
嬉しいこと。
『……あった!』
思わず出た、声。
笑顔になる、顔。
ドキドキ高鳴る、心臓。
どんどん上がる、体温。
震えてくる、掌。
じっとしていられない、体。
あれは、
あたしにとって……
楽しいこと、
嬉しいこと…。
そう、
信じても良いですか?