嘘でも良い
<良いですよ。
いつも以上の写真、
同封しておきますね>
その文面に、あたしは思わず頬が緩むのが自分でもわかった。
そして、明日の写真を楽しみにしようと思った。
「ただいま!」
「夏月、どこ行っていたのよ」
「少しお散歩!」
怒っているお母さんに向かって、あたしは笑顔で返した。
お母さんは不思議そうに首を傾げた後、台所へ向かった。
あたしはリズミカルに、階段を上った。
「どうしたの夏月。
やけに笑顔じゃない」
「エヘヘ!」
出るときと同じようにあたしのベッドに横たわるお姉ちゃんに向かって、あたしは同じく笑顔を向けた。
お姉ちゃんは怪訝な顔をしていた。
「何か良いことあったの?」
「まあね!でも秘密!」
あたしだけの秘密。
あたしの心の奥にしまっておきたい、秘密。
誰にも知られたくない。
いつか、伝えられたら。
この気持ちを、ムーンくんに渡せたら。
叶わない夢であっても。
願い続けたい。
好きだよ、
大好き。