嘘でも良い
第4章
別れは突然に
帰りのホームルームが終わり、あたしは1人、帰り支度をしていた。
早く準備しないと、お姉ちゃんを待たせることになるから。
あたしは開いている鞄を掴み、小走りで教室を出た。
開いていても、良いや。
お姉ちゃんに会った時、閉めようっと。
ドンッ
あたしは教室を出てすぐ、誰かにぶつかった。
「ご、ごめんなさい!
大丈夫ですか?」
急いで顔を上げると、目の前には見覚えのある彼が立っていた。
「つ、月更くん……」
相変わらず黒髪が長くて、目元―――というか顔全体が見えないけど。
ふわふわしている黒髪は、健在だった。
「大丈夫?」
あたしの方が月更くんより背が低いので、どうしても見上げる形になってしまう。
月更くんは何度も小さく、頷いていた。
「本当、ごめんね!」
あたしは鞄を肩に掛け直し、校門に向かって走り出した。