嘘でも良い
あたしはケイタイを開き、新規メール作成を選ぶ。
宛先をムーンくんにして、あたしは涙を流したままうち始める。
<ムーンくん。
嘘ついていました。
ごめんなさい。
全部、
今明かさせてください。
あたしは、越田夏月です。
越田夏美の妹です。
姉に頼まれ、あたしはずっと
ムーンくんとメールしてきました。
辛くはありませんでした。
こういうことは、初めてではないので。
だけど、罪悪感はありました。
だけどあたしは、
ムーンくんとのメールの
やり取りをする朝の時間が、
大好きでした。
ムーンくんの手紙を
下駄箱で見かけるのが、
大好きでした。
写真、ありがとう。
あたしはチューリップが
大好きなので、
綺麗なチューリップ畑の
写真が、凄く嬉しかったです。
この間突然メールした時も、
ちゃんと返信してくれて、
嬉しかったです。
ムーンくんに支えてもらえて、
あたしは嬉しかった。
ずっとずっと、
姉だと思っていましたよね?
騙していて、ごめんなさい。
謝っても許されないかもしれないけど。
でも、あたしは嬉しかった。
幸せでした。
ムーンくんとやり取り出来て、
本当に嬉しかった。
最後に、これだけ
伝えさせてください。
ムーンくんのこと、
大好きです。
ありがとう>
あたしは、送信ボタンを押した。
【送信しました】
さようなら、
あたしの、初恋。