嘘でも良い
「夏月。
アンタもしかして、失恋したの?」
ドキッ。
内心凄く慌てるけど、笑顔は崩さない。
「図星ね」
「お姉ちゃん?」
「アンタ、作り笑顔下手なんだからやめなさい。
見てるだけで、可哀想に思えるわ」
可哀想な人なんだ…あたしって。
「失恋して髪切ったの?
いつの時代よ」
「…別に良いじゃない。
切っている人、きっとあたしだけじゃないはずよ」
お姉ちゃんが思うより、きっと多いはずだわ。
正式にどれぐらいいるのかは知らないけどね。
「…本当、イエローチューリップだわ」
「イエローチューリップ?」
イエロー…。
あたしは急いでケイタイを取り出し、いまだ消せていないムーンくんのメアドを取り出す。
<Yellow-Tulip××××>
これ…イエローチューリップ?
黄色い、チューリップ?
何でこれが、メアドなの?