嘘でも良い
そう考えれば、全ての意味が分かった。
何故手紙は3行しか書かないのか。
メールも2件しか送らないのか。
自信がなかったからだ。
人気者のお姉ちゃんに、それしか送ることが出来なかったんだ。
それを送ることにさえも、緊張でいっぱいだったんだ。
もし、その緊張して頑張って書いて送った手紙やメールの返事をしていたのが、お姉ちゃんではなくあたしだと気が付いたら。
…ショックを受けるに、決まっているじゃないか。
あたしは自室の机の椅子から、落ちるようにして床に座りこんだ。
ベッドに寝転がって漫画を読んでいたお姉ちゃんが、驚いてあたしを見た。
「な、夏月どうしたの?」
「……んで」
「え?」
漫画を置き、あたしの隣に座るお姉ちゃん。
「何であたし…あんなこと、言っちゃったんだろう?」
「あんなことって何よ。
夏月、その彼に何をしたの?」
あたしは震える手でケイタイを持ち、送信ボックスを開けて、お姉ちゃんに見せた。
見せたのは、この間あたしが女子トイレでムーンくん宛てにうった文字だ。