嘘でも良い







「ど、どうしたの……?」



驚いた。

てか、驚いたって言葉だけじゃフォロー出来ない。




だって、月更くんとは、2度しか会っていない。

しかもどちらにも共通している言葉は『ごめんなさい』だし。

共通している出会いは、ぶつかって、だし。

大した会話はしていない。

まぁその前に、月更くんは話せないからしょうがないのだけど。




月更くんはあたしに向かって、チューリップを差し出している。

受け取れ、という意味なのだろうか?

驚きながらも、あたしは受け取った。




たった1輪だけの、チューリップ。

1輪だけでも綺麗に、自信に溢れて咲いている。

あたしはチューリップを見て、泣きだした。



あたしも、このチューリップのように強くなれたら。

未来は、変わっていたのだろうか?

最初から素直に、お姉ちゃんじゃないことをムーンくんに伝えられたら。

あたしはムーンくんに恋して泣いたこともなかったのだろうか?




だけど、弱いままでも良い。

失恋で終えたとしても、あたしは幸せだから。

また恋が出来る、と前向きになれたから。





でも、

何で月更くんが……?





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