嘘でも良い
聞こうと思い、涙を拭って月更くんを見る。
すると月更くんは、一心不乱にケイタイをいじっていた。
今時スマホが多い中、こんな至近距離にガラケーがいるのは珍しいことかもしれない。
送信し終えたのか、月更くんがあたしを見る。
見る、見る、見る。
…何であたし、こんなに見つめられているのだろうか?
てか、初めて見た、月更くんの素顔。
二重の伏し目がちな瞳に、高めの鼻に、綺麗な唇。
整った顔立ちをしている…イケメンだった。
思わず見とれていると、月更くんは自分のケイタイをトントンと2回叩いた。
首を傾げると、月更くんは再び何かをうち出して、画面をあたしに見せた。
<ケイタイは?>
は?
あたしのケイタイ?
「部屋の中にあるけど…?」
<今すぐ取って来て>
「う、うん……」
半ば強引に、ケイタイを取りに部屋へ向かう。
「お姉ちゃん、あたしのケイタイどこ?」
「机の上にあるじゃない」
お姉ちゃんは何かを言いかけていたけど、あたしは無視して階段を下りて玄関へ向かった。