嘘でも良い
「ケイタイ、取ってきたよ」
玄関先で話すのも悪いので。
家の下駄箱まで通した。
あたしが玄関に敷かれたマットの上に座ると、月更くんは躊躇いがちに座った。
<開けて>
「う、うん…」
言われた通りパカッと開くと。
…メールが1件来ていることを、知らせていた。
送り主の名前を見て、あたしは驚いた。
「え?」
【ムーン】
何で、ムーンくんからのメールが?
今ここにいるのは、月更くんだよね?
不思議に思いながら、あたしはメールを開いた。
<メール見て、
驚きました。
まさか、妹の夏月さんが
お姉さんの代わりにうっていたんですね。
驚いて返信出来なかったこと、
ごめんなさい。
実はずっと、
僕も嘘をついていたんです。
読んで気が付いたかもしれませんけど。
僕は、
月更彷徨です>
月更くんが…ムーンくん!?
あたしは急いで、月更くんを見た。