嘘でも良い
そこで気が付く。
メアド、何にしよう。
僕は数分考えて、カチカチとキーを押しだす。
<Yellow-Tulip××××>
イエローチューリップ。
花言葉は、望みのない恋。
花言葉なんて、女子でも知らない人は多いんだから。
気が付かれる恐れはないよね。
ちなみに何故僕が花言葉を知っているかというと。
母親が花好きだからだ。
母親は色々な花を家に植えては、その花言葉を僕らに教えてきた。
まぁ兄貴は興味なさげだったから、兄貴大好きの母親は話すのをやめたけど。
僕は熱心に聞いていたから、自然に覚えたのだ。
チューリップは色ごとに花言葉が違くて。
赤いチューリップと黄色いチューリップの花言葉の差に、僕は驚いたから。
そのせいで、覚えていたのだ。
何故イエローチューリップをメアドにしたのかは僕自身もわからないけど。
兄貴にとっては望みのある恋だけど、僕にとっては望みのない恋だから。
手紙を書くのも、これからメールを送るのも、僕だから。
僕が越田夏美に対する思いを書いたんだ。
まぁ僕は、越田夏美に恋心なんて抱いていないから。
望みのない恋も何もないんだけど。
どちらかと言えば、僕は越田夏美の双子の妹・越田夏月の方が良いな。
見たこともないし、話したこともないけど。
なんとなく、そう思えるんだ。