嘘でも良い
そして同じような時間に、メールが来た。
<写真見ました。
凄く嬉しいです。
ありがとうございます>
なんだか模範解答みたいな返事だった。
僕は数分考え、キーを押す。
<越田さんは、
チューリップ嫌いですか>
うち終え、また数分考える。
こんな問い詰めるような真似、しても良いのだろうか?
だけど、あんな模範解答みたいな答え、可笑しいと思ったんだ。
僕は送信した。
返事はいつもより遅かったけど、来た。
<そんなことないです。
チューリップ大好きです。
とても綺麗で、嬉しかったです>
女子が使うような絵文字や顔文字はないけど。
何だか本心を聞いたような気がした。
前から思っていたんだ。
男子に囲まれても堂々としている越田夏美にしては、堅苦しい文章だと。
だけど今回のメールは、緩やかだった。
<良かったです。
また送っても良いですか>
“越田夏美”からの返事が聞けて、良かったです。
<喜んで>
すぐに来たメールは、本当に喜んでいそうな文章だった。