嘘でも良い
本当は? 彷徨side
次の日。
越田夏美からのメールを待っていた。
何だか最近、これで朝が始まることが多い気がする。
兄貴の好きな人なのに。
僕はただの、身代わりでしかないのに。
「月更」
廊下から担任が僕を呼ぶ。
僕は小説を閉じて、廊下へ向かう。
「転入生に書いてほしい書類、書き忘れがあったんだ。
職員室で書いてくれるか?」
頷くと、担任が歩きだす。
僕もその後ろについていった。
…大丈夫か、この担任。
そう心の中で思いながら。
職員室で用事を済ませた僕は、下駄箱の所を通って教室へ戻ろうとしていた。
「あれ?
越田、お前それラブレターか!?」
越田。
その名字に、思わず反応してしまった。
立ち止まって、下駄箱を見る。