嘘でも良い
僕は俯きながら自嘲気味に笑う。
自分で自分が、馬鹿になるな。
僕は溜息をついて、歩きだした。
もう授業、始まっているかもな。
別に良いや、最初サボっても。
何も言われないでしょ。
何も、言えないんだから。
ぼんやりしていたからなのかもしれない。
だからきっと、彼女とぶつかったんだ。
ドンッ
「あ、ごめんなさい」
つい先ほど聞いた声と似たような声がして、前を向く。
…越田夏月が、立っていた。
足元に、体育の教科書が散らばっていた。
それに気が付き、拾い始める越田夏月。
僕もぶつかったので悪いため、拾い始める。
全て拾い終え、彼女が会釈をした。
すると。
彼女は再び教科書を落とした。
…見た目に反して、ドジなのかもしれないな。