嘘でも良い
<じゃあ、
どうやったら笑える?>
どうやったらって…そりゃ、決まってる。
<楽しいこと、
嬉しいこと思い浮かべて>
こうすれば、自然に笑えるだろ。
僕も思い浮かべる。
《そんなことないです。
チューリップ大好きです。
とても綺麗で、嬉しかったです》
頭に浮かんだ、“越田夏美”からのメール。
いつもより素直に見える、あのメール。
…何で僕、思い浮かんだろう?
その次に浮かんだのは、一緒に職員室まで向かった、越田夏月の姿。
何度折られても立ち直りそうな、まるで花のような強い人。
そんなイメージを、僕は勝手に持っていた。
僕は考えるのを止め、メールをうち出す。
<笑えた?>
心配だったんだ。
あの顔に、笑みが戻っているかどうか。
アテにならない、僕からのアドバイスで。