叶う。 Chapter1





シオンはあんまり感情的になったりする事がない。
それは喜怒哀楽全てに関して、あまり態度や表情に出すことはないという意味。

レオンは真逆で、よく怒るし、笑う。
多分、普通に見たらレオンの方が分かり易いんだろうけれど、私にとってはシオンの方が分かり易い。


それは何故かというと、感情表現が上手く出せる人は、怒っていても笑うことが出来るからだ。
だからシオンのように、あまり感情を出さない人は、ほんの少しの態度の違いでよく分かる。


案の定、シオンはご機嫌斜めだった。


エレベーターが自宅に着くと、シオンはさっさと玄関に向かって行き、手際よく鍵を開けて家の中に消えてしまった。

私はまだふらつく足でもたもたしながら、その後を追った。


重たい扉を開けて、きちんと靴を揃えてから家に上がる。
シオンはどこに行ったのか分からなかったので、とりあえず自分の部屋に向かうことにした。


着替えもしたいし、お風呂にも入りたい。

シオンに何か質問されるかもしれないので、その答えも考えておきたかった。



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