叶う。 Chapter1
それは普段シオンとベッドを共にする時の、当たり前の行動だった。
身体を重ねるという事は、抱き合うし、絡ませるし、しがみついたりもする。
大体、そういう事をするって事は触れ合うのが当たり前だし、シオンが私に触れる時、必ず最後までするのが当たり前になっていた。
だから、さっきシオンが私に触れた時、きっと無意識にそうなるだろうと思ってたんだと思う。
だけれど、シオンは私を抱きしめただけで、この部屋を出て行ったから、私は違和感を感じたんだと気がついた。
レオンは良く私の肩を抱いたり、手を繋いだり、ハグしたり、頬や額にキスしたりするけれど、それはレオンのコミュニケーションの取り方だから今更気にもならないけれど、シオンは人前でそういう行動を取ることは決してない。
シオンが私に触れるときは、必ず“そういう”雰囲気になるのだ。
だから、シオンに触れられたのに抱かれなかった事に違和感を感じたんだろうと思った。
でも、そもそもシオンは今日私があの場所にいなければ、あの綺麗なお姉さんとあんな事やこんな事をする予定だったのかもしれない。