叶う。 Chapter1
鏡に映った、幼い自分の顔を見てげんなりする。
誰がどう見ても、さっきのお姉さんと私を比べたらどちらに魅力を感じるかなんて一目瞭然だ。
シオンは気まぐれで私を抱くけれど、それは手近に女の身体があるからであって、本来ならああいう魅力的な女性に触れたいと思うんだろう。
だから、私を家に連れ帰ってすぐに、また出掛けてしまったのかもしれない。
なんだか酷く邪魔をしてしまった気がして、深く溜息を吐いた。
明日シオンに会ったらもう一度謝ろうと思いながら、私は立ち上がりバスルームに向かった。
今日はゆっくりお風呂に入りたい気分だったので、広めのバスタブに少しぬるめのお湯を張ることにした。
お湯を溜めている間、熱めのシャワーで全身を洗う。
ママが好んで買ってくるバスグッズは、どれも優しい柑橘系の香りがする。
私はその香りがどれも好きだった。
ふわふわと泡立てて、全身をゆっくりとマッサージするように洗っていく。
その作業は面倒だけれど、とても気持ちがいいものだと思う。