叶う。 Chapter1
バスルームを上がった私は、そのままリビングに向かった。
そしていつものように、キッチンへ向かうと冷蔵庫を開けて水を取り出す。
冷蔵庫の中には、おそらく五十嵐さんが用意していってくれたであろう夕飯が綺麗に所狭しと並べてあった。
お手伝いの五十嵐さんは、週4日か5日、だいたい朝の9時くらいから、夕方の5時くらいまで我が家にやってきてくれる。
その時間はいつもママがいる時間帯で、私はたまに顔を合わせる程度だった。
五十嵐さんは恰幅の良いおばさんで、とても優しくて何より家事のエキスパートだ。
五十嵐さんが来てくれるおかげで、我が家はいつも清潔で塵一つ見かけることもない。
そして五十嵐さんがやってくる日は、必ずこうして夕飯の用意がされている。
それはどれもとても美味しくて、大体日持ちするものばかり。
それに食材も適当に買出ししてくれているようで、私はあまり自分で買い物に行くことすらなかった。
あまり食欲はなかったけれど、何か食べないと。
私はガラスのボウルに入れられたサラダを取り出して、水とサラダを手に持って、お尻で冷蔵庫を閉めた。