叶う。 Chapter1
ダイニングテーブルにそれを置くと、キッチンに戻ってフォークとバジルソルトを持ってくる。
新鮮な野菜にバジルソルトを振りかけて、それを口に運ぶ。
仄かに口に広がるバジルの香りに、珍しく食欲が湧いてきた。
私はおそらく3人分あるだろう、そのサラダをほとんど残さずに平らげた。
きっと兄達は今日は家で食事をしないだろう。
そもそも週末は毎週朝帰りで、帰ってきても直ぐに部屋に行ってしまうからきっと寝てるんだと思う。
私は食べ終わった食器を流しに下げると、丁寧に水で流してから食器洗い機に入れてスイッチを入れた。
静か過ぎるこの空間に、機械の動く音と水の音が混ざり合ってすごく不思議な音が出る。
人工的なその機械音は、あまり好きではなかった。
私は時計に視線を向けた。
時刻は午後9時30分。
まだ眠るのには早いし、昨日からママに会ってない。
だから今日はママが帰宅するまではどうしても起きていたいと思ったし、何より明日病院に行くつもりだったので、ママに保険証を貰わないといけない。
私は静か過ぎるこの空間がとても寂しくなって、ピアノの練習をすることにした。