叶う。 Chapter1
「ブラックで。」
レオンはそう言うと、ソファから起き上がり大きく伸びをする。
「あら、あんた居たの?」
ママはレオンの方を見もしないでコーヒーを入れているのに、その声がレオンだと分かるらしい。
「可愛い息子におはようの挨拶くらいないのかよ。」
レオンはふざけた感じでそう言って、欠伸をしながらテーブルにやってきた。
「何が可愛い息子よ。全く、あんたまたお店の子にちょっかい出したでしょ!?」
ママはマグカップに入れたコーヒーを、少し乱暴にテーブルに置いた。
「違う違う、あのお姉さんが誘ってきただけだって。」
レオンはそう言って、テーブルにだらしなく座る。
ママはそんなレオンに軽く舌打ちをして、睨みつけた。
ママとレオンは顔を合わせる度、いつもこんな感じ。
「そういう問題じゃないでしょ?高校生の分際で夜遊びばっかりして!」
ママはそう言って、呆れたように溜息を吐く。