叶う。 Chapter1
「もう、あんたと話してると頭が痛くなる。」
ママはそう言って、額に手を当てながらタバコの煙を吐き出した。
レオンはママとじゃれあうのに飽きたのか、テーブルに頬杖をついて、何やら携帯をいじり始めていた。
私はちょうどいい、そのタイミングで食器を整理し終えて、時計を確認した。
「ママ、支度しないと遅刻しちゃうかも。」
「あら、ほんと!」
時計を見たママは、慌てて立ち上がると、パタパタとリビングを出て行った。
私も直ぐ後に続いて出ようとしたところで、レオンに声を掛けられた。
「あーちゃん、どっか行くの?」
レオンは携帯から顔を上げずにそう聞いてきた。
「病院だよ。」
レオンは一瞬私を見たけれど、また直ぐに携帯に視線を落とす。
私はレオンに携帯のことを教えて欲しかったことを思い出した。
どう切り出そうか考えていると、レオンは用事が済んだのか携帯をテーブルに置いた。
「ん?どうした?」
考え込んでる私を見て不審に思ったのか、レオンはこっちを見ながら首を傾げる。
「あ、あの、暇な時でいいんだけど。」
「うん?」