叶う。 Chapter1
なんとなく食べた気がしなかったけれど、私はなんと食事を終えた。
兄達はもちろん私よりも綺麗に早く食べ終わっていたけれど、私が食事を終えるまでは席を立つことはしない。
二人で何やら物理について話をしていたけれど、私が食べ終わったのでやっと席を立った。
「片付けるから置いといて。」
食器を片付けようとした兄達にそう言って、手にした食器を受け取る。
毎回一緒に食事をする度に待たせてしまうので、本当にいつも申し訳ないと思う。
兄達はそんな私を気にもしてない様子だけれど、私としてはさっさと食べてそのまま席を立ってくれた方が気が楽だ。
だけれどそれは届かぬ願いなので、私はなるべく気にしないように後片付けを始めた。
後片付けと言っても、食器を軽く洗って食器洗い機に入れてスイッチを押すだけなので、私は直ぐにそれを終えた。
そして未だソファで勉強を続ける二人を、こっそりと横目で盗み見ながら、静かに自分の部屋に戻った。