叶う。 Chapter1
部屋に戻ると、時間を確認した。
時刻は8時少し過ぎ。
あんまりぐずぐずしていると、支度が間に合わない。
ピアノに行くだけなら全然余裕なんだけれど、今日はその後の予定もある。
私は昨日畳んだ服を手に取り、姿見の前で着替えを始めた。
だけれど、着てみて気付く。
肩のざっくり開いたニットは、横幅は細身でぴったりだけれど、胸の部分がすかすかだった。
そう、私は貧乳だ。
仕方がないので、ちょっと厚めのパッドが入った下着に着替える。
それはどう考えても詐欺だけれど、誰に見せるわけでもないので構わない。
そうすると、今度はぴったりで少しだけ大人体系に見えるようになった。
私はそれに満足すると、今度はスカートを履いて網タイツを履いた。
そして、鏡に映る自分の姿をつま先から頭の先まできっちりと眺めた。
よし、大丈夫。
これでブーツを履けばそれなりに見えるはず。